睡眠について

人間は、身体のリズムに従って生きています。
例えば、体温は1日のうちで変化しますし、
体内の活動も毎日や、毎月、毎年といった 
スパンでリズムを刻んでいます。

睡眠にも、同様に朝起きて夜眠るという
リズムがあります。

そういったリズムは体内時計の機能によって
コントロールされています。

しかし、人間の睡眠に関する時計の1日は
24時間より長めの、約25時間に設定されているので、
夜更かしをするのは、それほど苦痛にはなりません。

近年は夜型の人
午前0時以降に就寝することを習慣している人は
大変増加しています。

20代~50代の年齢層では
夜型の方がマジョリティかもしれません。

医学的には、
人は午後10時~午前2時の間に
最も効果的な睡眠が取れるといわれています。

本来、動物としての人間は夜行性ではありません。
日が暮れれば眠るように人体はプログラムされています。

それに逆らう生活を送り始めたのは
物質的に豊になってきた、
ここ30年ほどのようです。

睡眠は生理学的には、負債(起きている時間)と
返済(眠っている時間)の繰り返しといわれています。
寝不足とは負債が増え続けている状態のことです。

睡眠の負債が溜まると昼食後の眠気も強烈になり、
どうしても午後以降の仕事の生産性が
低下してしまいます。

睡眠不足を解消するためだけでなく、
睡眠不足にあらかじめ備えようと、
週末に寝だめをする方もいらっしゃると思います。

しかし、残念ながら、睡眠は貯蓄できません。

野生の時代から
人類は夜に外敵に襲われ寝不足になった時に、
その負債を取返すための密度の濃い睡眠は可能です。

寝不足のとき、普段より短い時間の睡眠で
睡眠の負債を返済することはできます。

けれども、今週末、猛獣に襲われるから
今のうちに寝ておこうなんて
ことはなかったわけで・・・。

残念ながら、人間には寝だめ機能は
備わっていません。

では、
実際に寝だめをすると
どうなってしまうのでしょうか?

次回は、寝だめの効能?といいますか
弊害について書かせていただこうと思います。

睡眠について

お休みの日に、お昼まで寝ている、
いわゆる寝だめは、気持ちいいですね。

確かに、その結果、睡眠負債も解消し
そのときはスッキリします。

しかし、それをやってしまうと
肝心の夜に眠れなくなってしまい、

せっかく返済した負債を再び背負い、
睡眠リズムも崩れてしまって、

宜しくない状態で「ブルーマンデー」を
迎えてしまうことになります。

作業療法士である菅原洋平氏著
「あなたの人生を変える睡眠の法則」
(自由国民社)によると

睡眠には3つの体内リズムが
関係しているそうです。

睡眠を司る3つのリズム

  • ①メラトニンリズム
    光を感知すると減少し、夜間に暗くなると、
    急激に増加するメラトニンによって
    生み出されるリズムで、
    起床から4時間以内に、
    朝日を浴びることでメラトニンの分泌が止まり、
    体内時計がリセットされるリズム
  • ②睡眠-覚醒リズム
    眠る脳(大脳)と眠らせる脳(脳幹)によって
    生み出されるリズムで
    1日のうちで、
    大脳を眠らせるシステムが強く働く時間帯は
    起床から8時間後(昼食後の眠気)と
    22時間後(翌日明け方の眠気)の2回あります。
  • ③深部体温リズム
    体の内部の温度が変化するリズムで

起床から11時間後に最も高くなり、
22時間後に最も低くなるリズムです。
深部体温が高くなればなるほど、カラダが良く動き
スポーツの好記録は、この時間帯に出ることが多く、
トレーニングの成果も上がりやすいといわれています。
反対に深部体温が下がるほど、眠くなります。

ブルーマンデーは
この3つのリズムの調和が
崩れてしまうことによって起こるようです。
そのメカニズムについては
次回に書かせていただきます。

睡眠について

「ブルーマンデー」になるメカニズム

前回は睡眠を司る3つのメカニズム

  • ①メラトニンリズム
  • ②睡眠-覚醒リズム
  • ③深部体温リズム

について書かせていただきました。

睡眠-覚醒リズムは
メラトニンリズムの影響を強く受け、

起床後、4時間以内に光を浴びないと
人の体内時計は24時間より長く設定
されている為スッキリ目覚める時間帯が
どんどん後ろにずれていきます。

一方、深部体温リズムは、
メラトニンリズムに影響されにくく

他の2つのリズムが遅れて
しまっている場合でも
そのまま24時間を刻み続けます。

そのため、
通常6時に起床する場合、

睡眠-覚醒リズムにより
昼食後の14時頃と明け方の4時頃に
眠気を強く感じることになりますが、

週末の寝だめにより
3時間寝坊して9時に起きた場合
睡眠―覚醒リズムによる眠気は
起床後の8時間と22時間後
夕方の17時と月曜日の朝7時に現れます。

しかも
深部体温リズムにより
普段は、6時に起床している場合

いつもならば、体温が最も高く、活動的な時間帯である
起床から11時間後の17時頃に眠くなってしまい、
活動性が低下し体温がうまく上昇してくれません。

3つのリズムが同調していない
このような状態のときは、

深部体温リズムの勾配が低くなり
就寝時に深部体温が十分に低下せず
(深部体温が低いほど眠りは深くなる)

夜間の睡眠は浅く、
昼間の覚醒度も低くなります。

その結果、朝から頭がボーっとして
日中も、なんとなくスッキリせず
ネガティブな心理状態になり

憂鬱なブルーマンデーを
迎かえる結果になってしまうのです。

ブルーマンデーを避け、スッキリした気分で
月曜日を向かえるには、

週末(休日前)に、夜更かしすることを避け
普段と同じ時間に起床して朝日を浴び、

起床から11時間後の夕方深部体温が上昇している
夕食前の時間帯に、スポーツジムや散歩などで汗を流し
深部体温をしっかりと上昇させ、

さらに、深部体温は下がる直前に
上げると、勾配が急になり、その分より
深く下げることができるので、

熱いお風呂が好きな方は就寝2時間前を、
ぬるいお湯が好きな方は就寝1時間前を目安に入浴し
普段どおりの時間に就寝するか、

ウィークデイは、寝不足気味の方は
個人差はありますが、眠りのサイクル、
(入眠→ノンレム睡眠→レム睡眠→覚醒)
は80分~100分位なので
いつもより90分ほど早寝をする。

遅く起きることによる寝だめでなく、
早く寝ることにより普段の寝不足を
解消する攻めの睡眠をとり月曜日を向かえる。

このような、積極的に睡眠不足を解消する
休日の過ごし方が習慣になれば、

毎週月曜日は、心身ともにスッキリして
向かえることができ、

自然とやる気に満ちた1週間のスタートを
切ることができます。

次回は、攻めの眠りで
進学成績を向上させた高校の例を
取り上げてみようと思います。

睡眠について

日本では、非常に勤勉な国民性のせいか、
昼寝をするのはタブー視されているようです。

しかし一方で、公的に昼寝(シエスタなど)
が認められている国もあります。

人間の生理的リズムに従った場合、
昼食後の午後1時~2時頃に
昼寝をすることは自然なことです。

心から本当に仕事や勉強の効率を上げようと思うならば、
ウィークデイにも工夫して昼寝をしたほうが
医学的には、良いと言われています。

多くの職場では、昼食の時間として昼休みが設定されていますが、
なかなか昼寝を奨励している企業や職場はないようです。

しかし、その気になれば、昼食後に自分のデスクや休憩所で
10分~15分ほどの仮眠をとることはできるのではないでしょうか?

5分でも目を閉じていれば、脳内の神経伝達物質が補充され
アタマをスッキリさせる効果はあります。

睡眠-覚醒リズムの
大脳を眠らせるシステムが強く働く時間帯
起床から8時間後にあたる、
お昼休みの後は誰しも眠いものです。

睡眠不足か重なっていればなおさらです、
その結果、仕事の能率も低下してしまいます。

福岡の進学校、福岡県立明善高校では、
昼食後に自分の机にうつ伏せになり
15分間ほど仮眠をするそうです。

高校生の生活は、授業の後は部活動、
帰宅後は学習・受験勉強という具合で
忙しく、睡眠時間の確保が難しいものです。

お昼ね導入前は、多くの先生が「午後の授業は,
時に生徒が居眠りするなど集中力に欠け、
午前とは理解力に差が出る」と感じていたそうです。

こうした実態を受け、昼食後に15分間の昼寝を
導入することになりました。

そして、昼寝を取り入れた前後を比較すると。
センター試験の平均点が上昇!
東大合格者数も増加していました!

学力面の向上だけでなく
運動部の県大会出場回数も増加しました!!

保健室の利用者も年間800人減少したそうです!!!
お昼休みの仮眠の効果、なかなか馬鹿にできないと思います。
お試しになってみては、如何でしょうか?